本文へスキップ
 日   程
 月  日  曜日  天 気  行 動 概 略
 12月27日  水  晴 小倉発  22:00 
 12月28日  木  晴 松山港着  5:00    面河渓  8:40/9:10       愛大小屋着 13:10 
 12月29日  金  晴・曇 小屋発   7:40  山頂下  12:00  小屋着13:40 登山口着  16:33
駐車場発 17:01  松山港着 20:00
 12月30日  土  曇 小倉着   5:00 
 行 動 記 録
 12月28日
国道11号を194号経由で面河渓に行く予定で、途中のガソリンスタンドで情報を聞いたところ、先日の寒波で山道が凍結している恐れがあるので、33号経由で行った方が良いと言われ、転進して面河渓まで行く。 面河渓近くの道には凍結の跡があり、運転は要注意だ。 面河渓は、きれいな国定公園だが周囲一帯を断崖に囲まれている。 おかげで朝日が差し込まず、冬の朝は寒々としている。 人は誰もいなかった。 20分で出発準備をして、歩き出した。川面に雪が少し残るだけで遊歩道には雪は全くなかった。 登山道は遊歩道から階段で始まっており、2,3m上がった所に鳥居があった。やはり石鎚は信仰の山である。 雑然とした階段の登山道を足元に気をつけて進んで行く。 楽勝だ。 今日中に山頂は余裕で行けるかもしれないと思った。 持ってきたワカンも車に置いてきた。 最初はこんな調子だったが、1500m付近から様子が変わってきた。 雪が少しずつ深くなってきた。 足首、膝下、そして膝あたり、 そして新雪に足が埋まって歩きにくい。 1日で山頂往復はあっさり諦めて、山頂の避難小屋泊を目指すことにした。しかし途中の愛媛大学山岳部小屋に着いたら(13:10)、もう1時を過ぎていた。 これでは山頂もおぼつかない。 雪の状態も予想以上で、愛大小屋に一泊することにした。 中に入ってみて、状態の良さに嬉しくなってしまった。 整理整頓がきちんとできて、清潔な感じがした。 数は少ないが、畳が使えるし、毛布も十分にある。 土間には薪ストーブもある。 棚には予備の燃料や未使用の食料もあった。 ビールが無いだけである。 一人一泊500円の清掃協力金で宿泊できる。 夜は床に畳を敷いて、寝袋と毛布3枚を使って寝た。 雪山の避難小屋の夜は、毛布を何枚も使っても寒かった。 2時過ぎに目が覚めて、外にトイレに出た。 静かな夜に、満天の星が神々しく輝いていた。

一見小さいがとても機能的な愛媛大山岳部の避難小屋
 
きちんと片付られた清潔な屋内は快適である

標高1.500m付近の樹林帯から石鎚山南面を望む
 
穏やかな夕暮れの一時、小屋前から筒上山方面を望む
 12月29日
6時に目が覚めた。 やはり寝すぎた。 1時間で出発と思ったが無理だった。 出発して4時間半近くを要しても山頂は行けなかった。 小屋を出て見渡す途中の山腹に、白い筋のように雪道が見えていた。 でも、なかなか辿りつけない。 途中に支尾根と沢筋がいくつもあって、雪も深い。 ワカンも持ってきていない。 アイゼンも使わず、ストック一本で新雪を突き進んで行った。最初の内は曇っていて、山頂付近は雲が掛っていた。 10時頃だろうか。 風も強そうだ。 天気の状態を考えると無理して突っ込むのは禁物だ。 空模様を気にしていると、陽がさし出した。 その後、天気が持ち直してきた。 「やった。」と思った。 確信を持って歩き続けた。 道は何とかわかる。 雪も深くても何とか歩ける。 「12時位が限度だろう。」と決めていた。 標高も1,900m近かった。 そして「堂が森」との分岐を通過。 この辺りは木立の中で雪も深かった。 しかし「後350mで山頂」の標識もあった。 標高は1940mである。 雪道が左側の急斜面の前で切れていた。 雪もかなり深そうで、木々が埋没していた。 すぐ前は雑木林のまだ歩きやすそうな斜面である。 左を行くか、真っすぐ上に向かって突き進むかで時間を浪費してしまった。立ち止った、その場所から、山頂の社務所や風力計が回っているのが、間近に見えた。 すぐ後ろには、案内板や分岐の標識もあるのに、どっちに行ったら良いのか迷ってしまった。 左の急な雪の斜面は頂上岩壁の陰になっていて、山の斜面とは思えないほど雪が深々としている。 それでも、結局は左にルートを取ることにした。 腰以上の深さのある雪の中を、少しトラバースしてみた。 雪に覆われた木に枝を切り払った跡や、雪の上10pほどの所に「これが、目印か。」と思うような赤布が木に結び付けているのを見つけた。「わかった。 やはり、こっちか。」と思ったけど、それ以上は先に進む気にはなれなかった。雪に埋もれるか、流されてしまうか不安がよぎった。 また同じ道を一人で戻ってくるにはリスクが大きかった。 12時前だったが下山を決めた。 石鎚山で十分、冬山を満喫した。そして厳しさも経験できた。 そして無理な登山は絶対にしてはいけないことも実行した。 山頂直前まで来て戻るのは、本当に後ろ髪を引かれるが仕方ない。何が起こるか分からない、冬山登山である。 下山の時期と判断は、冷静に見極めたいと思う。 その後、5時間で下山し、駐車場まで戻ってきた。 新雪の登山道は、下りで予想以上の疲労を足に与えた。 3,4時間も歩くと脚や足裏が痛くなってきた。 靴もしっかり締めつけていて、自分の足ではないみたいだ。 堅い登山靴で滑りやすい急な登山道を下りていく。 靴底から痛み(疲労)がつきあげてくるような感じだ。 急ぎたいが慎重に歩を進めた。 事故の大半は、下山中に起きる。まして一人である。 自重しながら行動した。 登山道を降り切り、遊歩道に出たが急ぐ気力はなかった。 足指にできたタコも靴の摩擦でヒリヒリする。 この一日だけで十分疲れた。 翌日に場所を変えて、違う山を登りたいという気にはならなかった。 駐車場を出て車を走らせていると、松山まで42qの標識があった。 見た瞬間に気持ちは固まった。無理をすることはない。

あまりにも神々しい日の出の一瞬を見る
 
天候が常に変わる中、一瞬の晴れ間に山頂を仰ぎ見る
 感   想
 また機会があれば、同じコースで登ってみたい。 3月に来て、そして12月。 同じ年に2回も石鎚山に来たが、2000mしかない山だが十分気に入っている。 他には、三嶺(サンレイ)も、積雪期に高知県から、再訪したいと思っている。
  Reported by K.Mizoo  Photo presented by K.Mizoo